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2010.3月時言 どこに連れ込まれようとしているのか
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2010/04/16
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時言 どこに連れ込まれようとしているのか
先日、時言子の近所の集まりでのこと。ある人が「この頃はどうして非正規や派遣ばかりになったんかねえ」と言うと、「そりゃあ小泉さんの時に雇う方に便利なように法を変えたけえじゃ」・「いや不況じゃけえよ」等、発展していった。しかし本当の理由は何か。下部構造はどうなっているのか▼現代社会を規定する概念に「工業(化)社会」がある。例えば数万個に分解された部品を熟練労働者が組み立てていく。その労働者は正社員として長期間雇用され、次の日の労働力の再生産に足る金額の賃金が「生活給」として支払われ、それで家計の維持、即ち消費生活が営まれる。すなわちそれによって需要が生み出されるのである。(自動車王ヘンリーフォードが労働生産性に反して賃金を引き上げ、消費拡大を図ったのは有名な話。そうしなければ、作った自動車も売れない)。加えてラジオ、テレビ等マスメディアで「自動車のある生活」・「テレビのある生活」等々生活スタイルを植え付け(広告)、消費意欲を喚起する。この「20世紀的消費生活」の進展が需要を膨らませた▼しかし、この工業社会はIT 化・オートメ化の中で激変する。先ずは特別の技能や、それの習得・熟練を必要としない、すなわち機械の手足となる単純労働〔誰でもいい、代替可能な労働力)への需要の激増である。これこそが非正規労働激増の原因であり、識者は今後もこの単純労働化の流れは不可避としている▼今後も家計維持者どころか全労働者の七割を「非正規雇用」とする「資本の側の収奪強化策が、貧困・格差の拡大、年金・雇用保険の破綻、少子化、人間性の崩壊等々の社会問題を惹起しているのである。
安保 英賢
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