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【2006.6月】時言 「新しい踏みだしのために」
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2006/06/14
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時言 「新しい踏みだしのために」
「選挙で選ばれた国会議員・首相なんだから悪いことをするはずがない」。身内の年寄のこの底抜けのお人好ぶり、あるいは民主主義幻想に当惑させられる▽岩国の大多数の民意を無視しての閣議決定。あるいは教基法改悪・憲法九条改悪攻撃、郵政民営化等々、国民の多数の反対を承知の上で政権与党は自らの意向を強行し、一部の人の利益を保障し、国民には服従を求める。最後は近所の郵便局はなくなり、若者が再び戦場に駆り出される。口をすっぱくして話しても、冒頭の「・・・・悪いことをするはずがない」と繰り返す▽近代ブルジョワジーによる王権打倒の正当化論としての社会契約説において、J.Jルソーは抵抗権を行使しなければ、投票後の国民は常に権力に隷属させられることになると戒めている。そのことを見失っての民主主義幻想である。確かに契約説的民主国家そのものが幻想としての国家であり、階級を
韜晦(とうかい)しての国民国家幻想の下で、ブルジョワは権力を維持し、自らの利益を確保して来た▽この収奪の根幹をなす幻想の補強作用を果たしているのが小泉改革幻想であるが、今や幻想としての民主国家、金融資本主義は新たな幻想で補強しなければならない程追いつめられている▽三万の自死をもっての抗議は五年も続き、子どもを生まない抗議は合計特殊出産率を1.25にまで下げた。このような自己否定的抵抗を乗り越えるためにも、社会的位置の自覚による幻想からの自己回復が求められている。
(安保英賢)
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