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2010年1月時言 抑圧された力は出口を求めている
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2010/04/15
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昨年、格差や貧困問題をテーマとした「朝まで生テレビ」で山口素明さん(フリーター全般労組執行委員)の「金持ちから奪えばいい」という発言が注目されている▼山口さんに発言の真意を尋ねると「『奪う』といっても、要は累進課税の強化や相続税率のアップによる再分配のことだ。刺激的な言い方をしたのは、貧困を自己責任として来た世論に対し、社会の構造的要因を問う狙いもあった(1月4日、朝日新聞)としている▼冷戦解体後、資本の側はグローバル化・新自由主義を手段にして空前の巨利を手にしたが、同時に貧困・格差問題、さらにはそれの克服手段として「金持ちから奪う」などの考え方を惹起することとなった。これでは今まで力を尽くして形成してきた、革命・社会主義等を「悪」とする社会意識が綻びかねないとの危機意識を抱いているであろう▼権力側は自らに利益をもたらす社会意識の温存助長に細心の注意と策略をめぐらせている。例えば、広島の教育を痛打した「文部省是正指導」は是正と言う冠をつけることで「悪しき広島」とのレッテルを貼り、「指導」の大義名分の中で、広島の教育を破壊したのである▼しかし、意識は存在の反映である。すなわち前記労組の動きのように、日々分断・序列化・差別等抑圧と閉塞の中で呻吟する人間の中から、そうでない人との、労働との、社会との関係性へと変えたい、との欲求が噴出し始めている▼同じように文部省介入以来定員内不合格・中途退学等で教育権を奪われた何千・何万の生徒や、呻吟する教職員の「変えたい」との欲求は出口を求めている▼事態は弁証法的に止揚されることを内包しつつある。
安保 英賢
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