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【5月】時言 「司法は憲法81条に立て」
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2008/05/30
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時言 「司法は憲法81条に立て」
名古屋高裁は4月17日、イラクに於ける航空自衛隊の支援活動は米軍等と一体化したものであり、憲法9条に違反するとの判断を示した。長沼ナイキ基地違憲判決以来、実に35年ぶりの「違憲判決」である。「国の特定の行為については司法は判断権を有しない」という積年の統治行為論を退け、「司法の審査に服さない国の行為」は許されないとする憲法81条に基づいての判断である。これによって司法の独立・法治国家たる原則に立ち返ったとも言えるのである▽さらに私たちが、平和のうちに暮らす権利(平和的生存権)を具体的権利として認めた。すなわち「この権利を侵害する違憲行為の差し止め、損害賠償請求等の方途により救済を求めることが出来る」とした画期的な判決である▽今回、この「平和的生存権」に基づく差し止め・損害賠償請求は棄却されたが、被告国側の勝訴故上告の方途は絶たれ判決は確定した。故にイラク派兵違憲・平和的生存権の具体的権利としての確立も確定したのである▽さらに感動せずに居れないことがある。前記「長沼」判決後、福島重雄裁判長は高裁・地裁の「判事」からはずされ、定年まで6年を残して退官したが、この例のとおり最高裁が下級審を支配する手段として「人事権」を濫用しているのである。今回の青山裁判長は判決言い渡しの時、すでに退官していたことを知るにつけ、最高裁の支配権の強大さを思い知らされる。残る陪席判事2名を孤立させない闘いが求められている。
(文責 安保英賢)
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