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[4月号] 翼
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2013/06/02
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教育委員会制度が大 きく変えられようとし ている。そもそも教育委員会は、米国の制度を模して導入され、政治的な影響力が及ばないように、しかも直接民意を反映するよう委員の選任を公選制にした。しかし、戦後のイデオロギー対立が持ち込まれる中、今日の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)が成立(57年)し、首長の任命制による教育委員会へと制度化▼一方東京都中野区は準公選制度を導入。区民の推薦を受けた立候補者から教育委員を任命する制度を実施し(79年)、俵萌子氏が委員となって話題にもなった。その後住民の意識の変化もあり、議会の過半数を自民党・民社党が占める中1995年に廃止されている▼さて、現実の教育委員会は「地教行法」の精神から乖離し、既に政治の影響力が反映されているにもかかわらず今回の改訂である。そこには、教育「再生」を謳う安倍自民党と橋下(日本維新の会)共同代表らの教育の国家統制という狙いが透けて見える▼既に、第一次安倍内閣で教育基本法が改悪され、いわゆる愛国心を育成するという内容が加えられ、今次改定で首長の政治的意図が教育に反映されるようになると、形式的には維持されていた教育の政治的中立はなくなり、文科省がめざす教育が教育委員会を通してそのまま教育現場に反映されることになる▼かつて侵略をした隣国と外交上大きな問題に直面している時でもあり、識者ならずとも懸念する声が広がっている。
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