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[2月号]教育委員会制度の「改革」に抗する
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2014/05/01
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教育委員会制度の「改革」に抗する
去る2月22日、部落解放同盟県連主催の連続人権講座において、
広島県教職員組合書記長の西迫さんによる、安倍政権の進める教育
「改革」の危険性についての講演があった。
なかでも教育委員会制度について西迫さんは、「安倍首相のすす
める教育委員会「改革」は、首長が任免権を持つ教育長に教育行政の権限を集中させるというもので、教育委員会の中立性を著しく脅かす重大な欠陥を持っている」と指摘された。
振り返ってみると、そもそも教育委員会制度は戦後米国の制度を
模して導入され、その基本的スタンスは政治的影響力を排除するこ
とにあったのです。それは、教育が戦争に加担したという苦い経験
から生まれたものでした。教育委員の選任については、直接民意を
反映するべく公選制としたのもそのためでした。
その後、戦後のイデオロギー対立のなかで「地方教育行政の組織
及び運営に関する法律(地教行法1957年)が制定され、首長の任命による教育委員会へと改変しています。ただ、それでも教育委員会は中立を本旨とし、教育委員も首長から簡単には罷免されることもなかったのです。
さて今次自民党の「改革」案を見ると、教育長と教育委員長を兼務する代表教育委員を首長が任免し、その代表教育委員に教育基本方針の策定権を付与するものとしています。
しかも任免・罷免も可能にしています。現行では、病気などで教育
委員の罷免ができるだけですが、「改革」案では、首長の意に沿わ
なければいつでも罷免できるようになっています。
政府は、教育行政の最終的権限を持つ「執行機関」を教育委員会
に残すことで、政治的中立は担保していると言ってはいますが、現
行教育委員会制度化でも、陰に陽に、また「是正」という名の政
治介入がある中でその保障があるはずはありません。まさに広島県
は「是正」という名の介入で学校現場は大変な状況にあります。
こうした状況の上に、選挙によって首長が変われば教育内容が二転
三転し、一貫して安定した学校運営ができなくなってしまうという
ことになれば、さらに学校現場は混乱する危険性に直面することに
なるでしょう。
今、非正規労働者の増大や「特定秘密保護法」に代表されるが如
く「戦前」への回帰が懸念されていますが、教育委員会制度改悪に
より国に都合の良い教育が推進され、さらにその流れが強化される
ものであると言わざるを得ません。私たちは、こうした教育委員会制度の改悪を絶対に認めることはできません。
三原総支部本郷支部
齋尾和望
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